2009年3月23日月曜日

チェーンポイズン

小説批評でもひとつ。
本多 孝好著 チェーンポインズン
あらすじ

誰にも求められず、愛されず、歯車以下の会社での日々。
簡単に想像できる定年までの生活は、絶望的な未来そのものだった。
死への憧れを募らせる孤独な女性にかけられた、謎の人物からのささやき。
「本当に死ぬ気なら、1年待ちませんか?
一年頑張った御褒美を差し上げます」


それは決して悪い取り引きではないように思われた。

以上帯から。

ミステリーです。帯を見て購入を即決。主人公はある複数の自殺の事件に関連性を見出し、その自殺の「謎」を探ろうとしている記者。そしてその時系列から1年さかのぼって、世の中の歯車であることに疲れた30後半の女性。


最後にはミステリーらしくきっちり収まっていて好印象。
それよりも気持ちが奪われたのは、この主人公の女性の人生観、というか境遇、状況。
誇れるものも無く、親しい友達もいなく。仕事といってもただ食べるために仕方なしに続けなくてはいけない。擦り切れる寿命と精神の葛藤・・・というか諦念が非常に上手く書かれているように思えた。

まぁ一言で言うと「これ、なんて俺?」

そういった意味で、個人的には非常に面白かったと感じた作品。

ただ、色々複線も張ってたけどこういったトリックは一昔前の流行というか使い古された感もしなくは無かったかなーと思ったり。

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